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伝わる手紙のプロジェクト@銀座 [キーワード]

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資生堂ギャラリーのリー・ミンウェイ展に行ってきた。


◇リー・ミンウェイ(李明維)個展「澄・微」(Visible, Elusive)│資生堂ギャラリー

日本では初の個展。といっても世界的にはとうに活躍している。イベント式やインスタレーション形式で人気の台湾出身アーティストだ。

階段を降りると、壁のない解放された小部屋のような展示がたたずんでいて、我々は靴をぬいでおじゃまする。いくつかの木箱は贈り物のようにリボンがほどこされ、紐解いて開けるとたしかに贈り物のような思い出の品がふんわり置かれている。蓋にはそのエピソードが思い思いにつづられている。

「リボンはなんとなく結んでいただいたのでよいですよ」

そう言われてもやはりいつくしみをもって結んでしまう。もちろんやらされている感はなく自然とそうなるのだ。胸のあたりがここちよくあたたかい。

靴をはいて見上げると、リー氏の巨大な写真。私が意識するまで身を潜めたかのように、いったん視点をあわせるとみるみる存在感を表してくる。

亡くなった祖母への思いをこめた記録写真「100 Days with Lily(百日間の水仙)」。

私は祖父への思いをこめて次の展示に向かう。

「The Letter Writing Project(手紙のプロジェクト)」。来場者が、ある人に手紙を宛てる体験型の展示である。

靴をぬいでふすまに囲まれた空間に入ると、たちまち自分と他の人との思いが交錯する。
 
私は亡くなった祖父にあてて筆をとった。私の家族で文章を書くのは私だけである。

それはまぎれもなく祖父の影響。なんでもできる人だった。気難しいが、私にはやさしくしてくれて、遠く離れた土地土地でお互い手紙や俳句のやりとりをした。

病に冒された祖父の文字は後半のやりとりではまったく読み取れなくなった。でも私はなんの疑問ももたず返事を書き続けた。祖父も悪いと思ったのか文章はだんだん短くなり、その代わり美しい切手を送ってくれた。

わかっていた。

そんな風なことを書いて、小部屋をあとにした。

多分、祖父もわかっていた。

今月21日(日)まで。多くの人に足を運んでもらいたい。

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