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開店休業 [グルメ]

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近所のla kaguは、衣服や家具は高いが、新潮社の書籍を座って読めるのがいい。

吉本隆明氏の『開店休業』を10分で読めるところまで読んでみる。

danchuに寄稿していたとは驚き。グルメ雑誌は東京カレンダーの美女記事くらいしか見ないので、自分の見解の狭さに反省ザル。

当たり前ながら、文芸評論とは違う穏やかな物言い。本当に口にしながらしたためているような、温かさがスッと体に溶け込んでいく。

印象的なのがグミの実と、お菓子のグミの話。「ものには、すべて未来がある」との結びだ。自分の中で意味あいが広がって、ちょっとポジティブになる響き。

おちゃめな隆明先生に呼応するような長女・ハルノ宵子さんの文章も楽しい。

少し前に、よしもとばななさんの小説を読んだのだが、これもすごく心にしみた。といってもひきずるようなしつこさのない、読み終わったらあっさりバイバイと現実に送り出してくれる類。

ほかに兄弟がいたかはわからないけど、父と2人の娘の関係がなんだかほがらかなものに感じてほっこりした。本当はわかんないけど。

ちなみに『開店休業』というタイトルは連載途中、体調を崩した隆明先生が編集者の方に提案したのが元。

あれ、今日も閉まってる、明日は開いてるかな。また閉まってる、やめちゃったのかな。
そして、ある日何事もなかったように開店している。そんな感じがいいのだと。

「連載をやめるか」そんな決断を迫られたとき、こんな提案ができるのは、この方くらいではなかろうか。

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