小説のふるさと@半蔵門 [おくに文庫]
JCⅡフォトサロンで開催されている林忠彦作品展「小説のふるさと」に行ってきた。
『伊豆の踊り子』『潮騒』『二十四の瞳』など、日本人なら誰もがその存在を知る名作の舞台を写真におさめている。
小説のイメージに損なわないよう作品化するのはさぞや勇気がいることだろう。林忠彦さん自身も、「カメラがどこまで接近できるか」という「懼れ」を常に感じていたそうだ。そうしてできた作品群は、小説のイメージを損なうどころか人間的なリアルも兼ね備えていたと思われる。
男を撮るならこの人、と言われた林忠彦さんの目は「カメラだ」と思った。
「目がカメラだったら」と思うことってあると思う。たとえば流れ星を見たり、鳥が羽ばたくのを見たり、はたまたかわいい女の子がチラとこっちを見たりそんな瞬間を目の当たりにして「美しい」とか「かわいい」とかいう感情を意識するときにシャッターを押すのは完全に時機ハズレだからである。
氏の写真は、ありのままを映しつつ、決してひとりよがりでない共有できる心情をも現している、ような気がする。
なんともえらそうな感想だが、思ったが勝ち。自分の中にここちよい気持ちを生み出してくれるモノや人は本当に貴重である。
そして…石坂洋次郎さんの小説をまた読みたくなった。
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